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社会起業家推進は、自民党政権に戻っても進む - イギリスのNPOの学会での発表を通じて -

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昨日イギリスのNPOの学会(NCVO)にて「日本のNPOの課題と機会」について発表しました。

イギリスやドイツの研究者の方々を前に、英語での学会発表はかなり不安でしたが、日本社会がバブル崩壊後変質を続け、地域コミュニティや終身雇用制の崩壊、そして東日本大震災と原発事故という困難をどう乗り越えていくか、プレゼンをしました。今回の内容はコンセプチュアルなものとした上での発表をしました。会場からの反応は、幸いに好評でした。

プレゼン資料はこちらをお願いします。http://fp.cocolog-nifty.com/NCVOYT_20110907.pdf (947kb)

会場からの質問です。

Q1 イギリスのキャメロン政権(保守党)は「The big society (大きな社会)」を提唱しているが、イギリスの市民セクターの人々は懐疑的で、評判が悪い(同首相は緊縮財政に邁進し、市民セクターへの補助金削減もかなり進めている為)。2009年に鳩山元首相が「新しい公共」と提唱したことになぜ日本のNPOの人々は前向きに反応したのか。
A1 日本は戦後イギリスの保守党にあたる自民党が政権を担い続けた。2009年に政権交代があり、イギリスの労働党を手本とした民主党が政権についた。日本のNPO関係者は野党時代の民主党を応援してきた人が多かったため、「新しい公共」にも好意的な反応だった。更に、これまで日本の政治家で哲学を話す人は少なかった。「新しい公共」という哲学を、ついに日本の政治家が語りはじめたと日本国民は受け止めた。

Q2 日本で失業が増え、自殺者が増えて来た事に衝撃を感じる。自殺者の増加には、経済や失業以外の理由もあるのか。
A2 ソーシャルキャピタルやメンタルヘルスなども影響していると思う。日本は急速に西洋化を進めて来たが、お互いのつながりを断って来た歴史でもある。西洋は個人主義であるが、日本人はもともとつながりを大切にし、地域の共同体や家族の為に生きてきた。

Q3 (ドイツ人研究者から)もし間違っていたら教えてほしいのだが、日本人はチームワークを大事にするとのイメージがある。しかし今回の発表は現実はかなり変わってきたとの事だが、なぜなのか?
A3 例えばトヨタ自動車や、日本の家電メーカーのように、チームワークを大切にする日本企業は存在して来た(多くの会場参加者がうなずく)。しかし終身雇用制を日本企業は維持できなくなり、会社の為に尽くしても明日会社がなくなる、もうサステナブルではない、という時代になってしまった。プレゼンで紹介した若者でプロボノを始める動きは、もちろん日本人の人の為に働きたいというチーム重視の姿勢は変わらないが、会社に依存しては生きていけず、プロボノで新しいキャリアを見つけたいという事情もある。プロボノでソーシャルインパクトを発揮したいと参加する若者は思っている。

質疑応答の後、進行役の方からは「刺激的なプレゼンで、良いスタートを切れましたね」とのコメントを頂きました。(皮肉かなあと心配になり、懇親会場でも改めて長くフィードバックのお話を伺いましたが、本当によい内容だったとの事です。)

終わってから懇親会場で参加者の方々に改めて感想をお聞きしましたが、今までの日本に対するイメージ(チームワークの国)がかなり変わり、刺激的だったという事や、就中、英語がよかったとのコメントを頂きました。私は英語が外国語であり、学会発表は不安だったと打ち明けると、「そんな事は全くありません。プレゼン資料はまるでネイティブがつくったもののようです」とおっしゃられていました。

日本にいると、英語の耳はいかんせんさび付いていくものですが、学会発表での討議や懇親会場での歓談で、よく聴こえるようになっていました。(毎週木曜夜に地元高島平でNPOの英会話教室も開催していますが、一定の効果もあると思います。英語脳に日常からすぐ移行しやすかったからです)

まだ学会は明日の2日目がありますが、発表を担当した1日目を終わった感想としては、フレンドリーな場作りに海外の学会(少なくともNCVO)は力を入れていると感じました。日本の学会では大会場で厳しい指摘の応酬が発生する事を時折目にしますが、多くの参加者を前に面目を失っては「改善する意欲<モチベーションダウン」を引き起こしかねません。もちろん学問的に厳しく深堀りをしていく姿勢は、海外の学会も日本の学会も同じと思います。ですが、例えば今回の学会では新しい研究者が大事なんだという姿勢であり、New Researcher's session も用意し、新規参入そして循環が起こりやすいよう配慮がされています。開かれた学会の姿勢は、優秀な研究者の新規参入と継続参加を促進します。

意外だったのは、イギリスのNPO関係者にとって、社会的企業(Social Enterprise)を推進する保守党キャメロン政権は評判が悪いという事でした。NPOセクターへの政府予算を大幅削減したのが理由との事ですが、公共サービスを政府から民間に移し、社会的企業や地域団体で競争してサービスを行うように、との政策もあるとの事です。イギリスは日本の先行事例とよく見られていますが、もし今後民主党から自民党に政権が戻っても、社会起業家推進は自民党も進めると予見できる事が、今回の訪英の収穫と思います。

海外学会での発表経験は自分に取っては貴重なものとなりました。それぞれの国が持つ文脈(コンテクスト)は違いますし、かなり多様性があると思いますが、それを念頭に置きながら、今後も機会をみつけて世界で活動をしていきたいと思います。

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