【中日新聞 社説】駅ホームの安全 一刻の猶予も許されぬ
中日新聞さんは、1月24日社説に続き、26日の社説でも、転落事故の再発防止について論じておられます。
「駅のホームの危険性は、生活者に非常に身近な問題である」との危機感から執筆されていると伝わってきます。
(以下、引用です。)
駅ホームの安全 一刻の猶予も許されぬ
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011012602000014.html
JR目白駅で全盲の男性が転落死した事故を契機に、視覚障害者らがホームの安全対策を急ぐようJR東日本に求めた。鉄道会社は切実な訴えに耳を傾けてほしい。もはや一刻の猶予も許されない。
「手をつなごう全ての視覚障害者全国集会」が以前、東京都内の目の不自由な百人に尋ねたところ、二人に一人が駅のホームから落ちたことがあったという。全盲の人に限れば三人に二人の割合だったというから愕然(がくぜん)とさせられる。
たまたま電車が来なかったから命拾いをしたのだろう。まさに綱渡りのような毎日だ。目の不自由な人を守る“最後の砦(とりで)”となる点字ブロックはきちんと機能しているのか、疑問が拭えない。
全国のホームに点字ブロックが広がるようになったのは、一九七三年二月に目白駅の隣のJR高田馬場駅で起きた転落事故がきっかけだった。四十二歳の全盲の男性が電車にはねられ亡くなった。
遺族は損害賠償を求めて旧国鉄を訴えた。東京高裁での控訴審で和解したとき、旧国鉄は目の不自由な人の安全を守ると誓ったはずだ。国とJR各社はその約束をほごにしてはならない。
点字ブロックは改良が重ねられ、約十年前には日本工業規格(JIS)が決まった。それでも周りの環境に適した色や濃さ、敷き方は現場に任され、まちまちだ。
目白駅のホームのように目の不自由な人が首をかしげる点字ブロックは至る所にあるようだ。利用する人の身になって規格の統一を図り、改善を急いでほしい。
ホームでの転落事故は視覚障害者に限った話ではない。ちょうど十年前には、JR新大久保駅で落ちた人を助けようとして韓国人留学生と日本人カメラマンが線路に降り、三人とも犠牲になった。
この事故が発端となってホームドアや可動式のホーム柵が注目されるようになった。だが、費用や技術を理由にして導入は遅々として進まないのが実情だ。
乗客がひしめき合う朝夕のラッシュで押されてヒヤリとした経験のある人は多いだろう。深夜になればフラフラと危なっかしい千鳥足が目につく。誰しも転落の危険と隣り合わせでいる。
例えば、JR御茶ノ水駅の周辺には病院が多いし、目白駅や高田馬場駅の近くには視覚障害者が通う学校や施設がある。せめて弱者がよく使う駅の安全対策を前倒ししたい。乗客の生命と安全はすべてに優先するはずだ。
(中日新聞 2011年1月26日)
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