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来年3月のNPO学会で、社会起業家について報告

昨日、日本NPO学会第11回年次大会(名古屋大学)の事務局から、メールをいただきました。

来年3月の大会で、社会起業家について、報告することが承認されました。

採用された抄録は、こちらです。
JANPORA2009_Summary_Tanabe.pdf (17KB)

2004年大会から、6年連続の報告になりました。 地道に、鉄人衣笠を目指して、がんばります。

以下、本文です。

■ソーシャル・イノベーションが生まれる公式についての考察
田辺 大(東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻NPMコース)

【はじめに】
 社会起業家とは、「ソーシャル・イノベーションを起こす人」と定義される(谷本)。では、ソーシャル・イノベーションとは、どう位置づけられるのか。
 そもそも、イノベーションには三種が知られており、プロダクト・イノベーション(製品を単位とした新しい工夫)、プロセス・イノベーション(工程を単位とした新しい工夫)、そしてソーシャル・イノベーション(社会を単位とした新しい工夫)である。
 ソーシャル・イノベーション発生のメカニズムについて、国際的に関心は高まっており、先行研究としてはTheory of Change (W.K. Kellogg Foundation) が挙げられる。しかし、同理論はソーシャル・イノベーションの発生プロセスについては述べていても、全く何も知らない人が、同理論を見ただけで必要ならば再現実験ができるというレベルで書かれてはいないと筆者は考える。
 ソーシャル・イノベーションの発生のメカニズム、すなわち公式について、今回の研究対象とする。
 論点としては、ソーシャル・イノベーションの発生のメカニズムについて、そして当研究の妥当性について、議論が行えたら幸いである。

【手法】
 社会起業家として、日本及び世界で先駆的な活動をする複数の実践者の事例研究を通じて、ソーシャル・イノベーションを生み出す普遍的な公式について考察する。

第一公式:実践者が、社会課題の解決機会に遭遇する。
第二公式:実践者が、自らの社会的使命を認識する。
第三公式:実践者が、社会課題を解決する事業の仕組み(Business Model) を設計する。
第四公式:実践者が、商品・サービスの普及活動を、多様な利害関係者 (Stakeholders) に向けて、開始する。
第五公式:共感 (Empathy) のコミュニティが形成される事で、資金調達、人材調達が進み、死の谷 (Death Valley) を越え、経営危機を突破する。
第六公式:損益分岐点を越え、国内外へ普及が拡大する。
第七公式:政策提言を通じ、国家の政策へ反映される。

 上記の公式を、実践者が、第一公式から順番に適用すると、最初は事業運営のノウハウが不足する、いわば素人の実践者であっても、事業を成長軌道に乗せ、ソーシャル・インパクト(社会的影響)を、社会的企業は発し始めると考えられる。
 しかし、上記の一連の公式の適用の間、経営力(起業家精神・問題解決力)、危機管理能力 (Risk Management)、学習能力、会計力、品質管理力、デザイン力も、必要であると考えられる。

【主たる結論(新たな知見など)】
 日本、そして世界の関連事例を調査すると、ソーシャル・イノベーションを起こす実践者たちは、最初から経営のプロフェッショナルばかりではなかった。
 むしろ、彼ら・彼女らは、果敢にゼロから事業に挑戦し、そして丁寧に、共感のコミュニティを形成し、結果、団体の外のリソースと、中のリソースを併せ、リソースの最大化を追求している。
 「死の谷」は、営利ベンチャーの経営論でも説かれているが、公益事業を行う社会起業家も同様に、開業から成長段階にいたる過程で、遭遇する。
 しかし、「死の谷」を越えたくとも、公的機関・金融機関からの理解、支援には時間がかかるため、民間にて独自のセーフティネットを築く必要がある。そして、ソーシャル・イノベーションを起こす、お手本の人 (Roll Model) が出現し、後進の実践者を支援し、ソーシャル・イノベーションの普及が進展すると考えられる。

【参考文献】
“Theory of Change” (W.K. Kellogg Foundation)
『非営利組織の経営』(Peter. F. Drucker)
『イノベーションと企業家精神』(Peter. F. Drucker)
『ネクスト・ソサエティー』(Peter. F. Drucker)
“Social Entrepreneurship” (Micholls)
“How to change the world” (David Bornstein)
“Strategic Tools for Social Entrepreneurs” (J.G. Dees, Jed Emerson, Peter Economy)
『ソーシャル・エンタープライズ』(谷本)
『チェンジメーカー』(渡辺)
『ムハマド・ユヌス自伝』(ムハマド・ユヌス)

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