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日本NPO学会にて、社会起業家について充実したプログラム

日本NPO学会第10回年次大会が2008年3月15日から16日にかけて、東京・中央大学の後楽園キャンパスにて開催されます。

社会起業家について充実したプログラムが組まれると伺いました。 会員でなくても、オープンに参加申込ができます。

3月15日(土) 9:30-11:00、社会起業家についての部会が開かれ、筆者も「ソーシャル・イノベーションと社会起業家」という演題で、学会報告を行います。

報告概要(A4 1枚)をこちらにアップします。 
「JANPORA_2008_Summary_Tanabe.pdf」をダウンロード
テキスト版では、この記事の下の方をご覧ください。

3月16日(日)14:00-16:00、社会起業家についてパネルディスカッションが開かれます。モデレーターが原田勝広さん(日本経済新聞社編集委員)、パネリストに田坂広志さん(多摩大学大学院教授、社会起業家フォーラム代表)、井上英之さん(慶応大学専任講師、SVP東京代表)、服部篤子さん(CAC代表)、村田早耶香さん(NPO法人かものはしプロジェクト代表)です。

駒崎弘樹さん(NPO法人フローレンス代表)も、パネリストで登場するセッションも予定されているとの事です。

ぜひ、会場でお会いしましょう。

■ソーシャル・イノベーションと社会起業家

田辺 大(フォレスト・プラクティス、東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻NPMコース)

【はじめに】
イノベーション(新しい工夫)には3類型が知られており、(1)プロダクト・イノベーション(製品単位の新しい工夫)、(2)プロセス・イノベーション(工程単位の新しい工夫)、そして(3)ソーシャル・イノベーション(社会単位の新しい工夫)がある。
このうち(3)はトップダウンの制度構造改革等を指すとされ、日本人には不得手とされてきた。
一方、社会起業家は「ソーシャル・イノベーションを起こす人」(谷本)と定義される。社会単位のイノベーションを、ボトムアップで行う。
アマルティア・センや緒方貞子が国連で提言したように、人間の安全保障は、トップダウンとボトムアップの組み合わせにより成立し、市民セクターの重要性を示す。
そして、イノベーションの概念を用いることで、社会起業家を正しく認識し、論じることができる。例えば、「NPOと社会起業家の違いとは」という質問を多く見かけるが、上述のように、社会起業家は「ソーシャル・イノベーションを起こす」という行為であり、NPOは法人格という形態である。行為と形態を分けて認識する必要がある。NPO法人格という形態で、行為が社会起業家、という事例は枚挙にいとまはない。「一般企業の社会貢献活動と、社会起業家との違いとは」も同様である。社会単位のイノベーションを起こしているか否か、が鍵できる。
ソーシャル・イノベーションを起こすことで、それまで分業により切れていた、社会における多様なステークホルダー(利害関係者)が結ばれ、新しい価値が生まれる。ビジネスモデル(事業の仕組み)が、その動力源である。ビジネスモデルが実行されるほど、社会貢献が進んでいくという正比例の関係が成立する。
筆者は、2004年の第六回年次大会以降、社会起業家をテーマとした学会報告を行い、概念の定義(第七回)や、そもそも社会起業家にとっての成功とは何か(第八回)について、考察を行って来た。第九回では、ソーシャル・イノベーションが全世界で自然発生している現況を、現代の産業革命と位置づけした報告を行った。
今回では、過去の報告を踏まえ、ソーシャル・イノベーションの考察を進めたい。市民セクターとして着手可能なものは何か、その成果は何か、について考察し、学会の知見形成に貢献できたら幸いである。

【手法】
・課題認識、目的、構成
・従来の研究の整理、検討
・方法論
・結果、考察、結論

【主たる結論(新たな知見など)】
イノベーションの概念を用いることで、社会起業家について正しく論じることができる。社会の課題は、いわゆる社会的弱者(障がい者、自然環境、将来の世代等)を契機とし、市民を突き動かす。社会の課題に突き動かされて、市民セクターからボトムアップで発生するソーシャル・イノベーションは、ビジネスモデルが動力源である。社会単位の新しい工夫は、持続可能な社会の構築(サステナビリティー)という成果を目指す。

【参考文献】
『非営利組織の経営』(Peter. F. Drucker)
『イノベーションと企業家精神』(Peter. F. Drucker)
『ネクスト・ソサエティー』(Peter. F. Drucker)
『Open Innovation』(Henry Chesbrough)
『スモール・イズ・ビューティフル』(E.F. Schumacher)
『人間の安全保障』(Amartya Sen)
『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』(Clayton M. Christensen)
『明日は誰のものか―イノベーションの最終解』(Clayton M. Christensen)
『なぜ組織はイノベーションをつぶすのか?』(Adrian Brown)
『イノベーション・マネジメント入門』(一橋大学イノベーション研究センター)
“Social Entrepreneurship” (Nicholls)
“How to change the world” (David Bornstain)
『ソーシャル・エンタープライズ』(谷本)
『社会起業家』(町田)
『社会貢献には二つの軸が必要』(田辺)
『ソーシャル・イノベーション革命』(田辺)
『起こそう!続けよう!社会起業』(田辺)

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