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「日本の社会起業家は資金調達に課題があり、今後増えない」は本当?

これから筆者が申し上げることは、かなり熟考が必要で、書くまでに時間を要しました。

社会起業家について、メディア掲載が、おかげさまで増え、「識者コメント」も、当然ながら、増えています。

つまり、メディアがご取材くださった事例の後で、大学研究者や評論家の方のコメントを掲載することで、いわば記事や放送の内容の裏づけができます。

ただ、筆者は、一部の識者コメントに、違和感を感じるものもあります。 一言で申しますと、現場から遠いのです。 残念ながら、何か、ピントがずれています。

例えば、識者コメントで有名なものに「日本の社会起業家には、資金調達の課題がある。日本の金融機関は、お金で買えない価値への目利きが、依然乏しく、社会起業家への資金の流れが生まれることは難しい。今後、日本で社会起業家の数も増えないだろう。」

または「日本の中間支援組織は未成熟。アメリカの財団のダイナミズムにまだ遠く及ばず」とのコメントも、拝見します。

いずれのコメントも、建設的な視点からと思います。 しかし、熟考してみましたが、本質的には、どうでしょうか。

世界も、日本も、もちろん市場環境の変動はありますが、実際は、お金余りの状況があると筆者は感じます。 よって、巨大マネーが世界を奔流している。

「お金はある。でも、投資先がない。」

「投資先はあるかもしれないが、それが有効だということを、見せてほしい。」

そこで、考えてみましょう。 経済界で力のある方へ、日本の社会起業家は、どれほど会いに行っていますか?

「この社会起業家という、熱く訴える人間と、組んでみよう。 こいつは何かをやりそうだ」と、経済界へ打って出ている社会起業家は、日本でどれほどいるでしょうか?

残念ながら、5本の指も行かないかもしれません。 いつものメンバーと「いやー、お金ないねえ」と地元のセミナー等で言い合っているだけで、終わらせていませんか?

それでは、何も変わらないのです。

残念ながら、独善か、遠吠えで終わるだけです。

筆者は、日本の経済界のリーダーの方々や、勉強会等で講師を務めながら、社会起業家の概念をまだ知らないという、ビジネスパーソンの大多数の方々に、お話を紹介して回る日々です。

手がたりの障がい者等、当社の仲間たちも、白杖をつきながら、目も見えず、中には耳も聞こえず、かなり慣れないのに、努力して、財界人へのプレゼンテーションに同席参加したりしています。

信頼をかち取る。 社会起業家精神で、打って出るしかない。

「資金調達が課題」「中間支援組織の未成熟」は、現場では、百も承知です。 でも、お金や制度整備は、後でもついてくる。 今、必要なのは、「弾丸が飛び交う戦地で、ハングリー精神で、前に出るという人」です。

誰も海に飛び込めずに、お互いで譲り合う中で、最初に飛び込む気概です。 そして、事業を、どんなに山谷があっても、大局観で、持続できることです。

キーパーソンは、そこを見ている。

あるのは、魂のやり取りだけです。 

ただ、日本球界から飛び出し、アメリカのメジャーリーグにわたった野茂英雄選手に対し、当初、酷評の識者コメントがありました。 「野茂は、メジャーで通用しっこない。すぐに日本に帰ってきますよ」。

しかし、野茂選手が、孤軍奮闘し、輝かしいフロンティアを切り開いたことは、周知の事実です。

酷評をした識者は、それまで管理野球の論客でもあり、わが国の野球評論において大きな存在感がありましたが、野茂選手の成功後、目利きがなかったとして、急速に論客の地位を失いました。

新しい事象に対し、まずは辛口の評論をする。一見、良さそうですが、新しい現実が、既存の目利きの想定を超えていったときのリスクは大きい。 評論の見当を外したときから始まる失墜も、ざらりとした現実です。

そして、日本の社会起業家で、野茂英雄のようなフロンティア開拓者達が増えていることも、事実です。

今後、社会起業家の数も、質も、わが国においても、世界の潮流に親和しながら、更に向上していきます。

また、そうでないと、地球が壊れていくだけです。 子孫も、いきものも、住めなくなります。

壊れていく地球を、治していくビジネスが、社会起業です。

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コメント

「独善か、遠吠えで終わる」のがいやなら、「経済界へ打って出て」行く必要がある。そのとおりですね。

今起きつつあるノンプロフィットセクターのパラダイムシフトは、大げさに言えば、20世紀初頭のフォーディズム、鉄道・電信等のインフラ整備をきっかけとする市場経済の爆発的発達に比する大変革となるポテンシャルがあると思います。

このフロンティアを開拓するには、「最初に飛び込む気概」が必須。そして、そうはいってもやはり並行して、人材・スキル、資金、情報の流動性を高める「社会起業インフラ」の整備が必要でしょう。

投稿: cloudgrabber | 2007/09/26 15:43

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