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株式上場の新しいパラダイム

以前、「出資をしたいのですが。」を記しましたところ、北九州の古賀さんから、貴重なお問い合わせを頂きました。 以下に抜粋します。 (原文はこちらです)

「上場とは、ある意味で会社の所有権が多数の株主に移行することを意味しており、社会的ミッションで成立する社会的企業は、ミッションの維持のためには、上場というのはありえるのでしょうか。
社会的企業は、利益を社会的貢献にふりむけるために、株主への利益の還元とのジレンマに陥る可能性があります。
また、収益をよりあげることを要求され、社会的コストが大きな社会的事業を縮小されざるを得なくなるのではないかとも考えます。
ぜひ、このあたりのご意見をいただければ幸いです。」

筆者は、上場とは、英語で "going public" と表現されますように、公共(public)をテーマとする社会起業家が、成長の過程で上場することは、選択肢として健全と感じます。

ただ、フォレスト(当社)が上場したら、利益追求のために、既存の障がい者スタッフ等のリストラを進めてしまいませんか、と4月29日のセミナー後の懇親会でも、心配顔の読者の方から、お問い合わせを頂きました。

「社会起業家が上場することで、株式市場は新しいパラダイムに入っていく」と筆者は考えます。

社会起業家が上場することで、共感のコミュニティ(compassion)は、株式市場にも広がります。

資金調達が進められる事もありますが、優秀な人材の確保、社員の士気向上、ストックオプション等での還元、そして「社会貢献の仕事や、社会起業家は食べられない」という社会の既存の常識も、変えることができます。後進の若手の方々が、更に社会起業を始めやすくなります。

キーワードは、公共サービスの供給責任です。 福祉や環境など公共サービスの供給を担っても、現状、寄付税制なく、金融機関からの信用も受けにくく、資金調達は個人保証や助成金に依存し、経営力が弱く、財務的に閉塞していくのが、NPOや社会起業家の大多数です。 公共サービスの供給責任を持続的に果たすのは困難な社会的構造があります。

社会起業家銘柄(いわば「ソーシャル銘柄」)が増えることで、新しい選択肢が、株式市場に生まれます。

今の構造のままでは、株式市場は、社会的価値の目利き力は投資家につかず、マネーゲームに終始してしまいます。 昨年度ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏は、社会起業家の為のマーケット構想を話しますが、グリーンなお金が循環する為の、新しい選択肢が必要と考えます。

社会的価値と経済的価値は、従来のパラダイムでは、両立は困難でした。 しかし、新しい経営のパラダイムでは、両立し、車の両輪の関係に変わります。 社会貢献事業は、コストセンター(費用がかかる部門)ではなく、プロフィットセンター(収益の稼ぎ手)です。

もちろん、生き馬の目を抜くビジネスです。買収や乗っ取りの危機にも遭遇します。ただ、グローバリゼーションが進行し、世界経済は大きなコップの中にあります。どんなお金であれ、コップの中の争いにつながっています。

短期的な、浮利を追う株主に所有される企業になるのか、長期的利益を求める株主に恵まれるのかは、経営者次第であり、力が試されている、と筆者は考えます。 

株主に長期保有を頂く企業努力の事例等もお聞きしますが、後者のあり方を、筆者は丁寧に目指したいと考えます。

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受信: 2007/05/08 09:53

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