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2006年6月日銀短観 ~景気回復、ホンマですか?~

3日に2006年6月の日銀短観が発表されました。

【筆者のキモチ】
20060610_0471_450reuters

【ポイント】
(1)景気回復とのことですが、中小企業・非製造業を取りこぼし。
(2)農林水産業は、そもそも日銀短観には反映されていない。

まず、日銀短観の報道をおさらいします。

(以下引用)

http://www.nikkei.co.jp/keiki/tankan/

6月の日銀短観、景気回復基調鮮明に──大企業、製造業が2期ぶり改善

 日銀が3日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス21となり、前回の3月調査に比べて1ポイント改善した。機械産業などの大幅上昇が寄与し、景況感の改善は2期ぶり。大企業の2006年度の設備投資計画は前年度比11.6%増と、1990年度以来の高い伸びになった。堅調な需要を受けて企業の景況感が改善し、積極的な設備投資につながっており、景気の回復基調が鮮明になっている。

 業況判断指数は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業は前回調査で小幅悪化したが、今回は前回調査時より株価が下落していたにもかかわらず、景況感は再び改善基調に戻った。改善幅はほぼ市場の予想通りで、企業が景気回復に自信を深めている姿が浮き彫りになった。

Tankan200606

(2006年7月3日 日本経済新聞)

(引用終わり)

確かに、上記のグラフを見ると、大企業・製造業、大企業・非製造業、中小企業・製造業ともプラスを進んでいます。

でも、中小企業・非製造業は、プラスには転じていません。

中小企業・非製造業とは、建設業や、飲食店、サービス業など、いわばまちづくりに関わる人たちです。生活産業の担い手ともいえましょう。

日銀短観データは、日銀HPからダウンロードできます。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/zenyo/all0606.htm

そこで、規模感が知りたかったので、そもそも、「大企業・製造業」「大企業・非製造業」「中小企業・製造業」「中小企業・非製造業」は、売上規模はどれくらいあるのか、グラフにしてみました。

Tankan200606_1

売上では、大企業は製造業・非製造業を合わせて55%で、過半数を占めています。中小企業は同45%。

一方、企業数では? 有効回答社数が該当しますので、それもグラフにしてみました。

Tankan200606_2

中小企業・製造業は30%、同・非製造業は46%、計76%。 つまり、数の上では少ない大企業が、売上を稼いでいて、「ニッパチの法則」に近いものを感じます。

しかし、中小企業・非製造業とは、商店街やサービス業などです。今後、NPOも含まれてくるでしょう。
成熟社会に至り、店頭でモノが売れなくて、新しい消費のパラダイムに一番戸惑っている人々です。

景気回復の呼び声で、切捨てにあっているのが中小企業・非製造業。
「大企業からの経済波及効果がくるでしょう」と金融当局は見越しているのかもしれませんが。

ところで、日銀HPのデータで、中小企業・非製造業に農林水産業の記述がなかったので、おかしいなと思いました。

調べてみました。

日銀HPで、「短観」の標本設計および標本の維持管理等について が見つかりました。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/nt_cr/nttk17.htm

(以下、「企業短期経済観測調査」の見直し案について より引用)
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/ron0011a.htm
「短観調査」には、全国の企業約9,000社を調査対象とする「全国短観」と、主要企業約700社を調査対象とする「主要短観」があります。このうち、「全国短観」は、総務庁「事業所・企業統計調査」を母集団とする標本調査で、「事業所・企業統計調査」の改訂に合わせ、5年毎に標本(調査対象企業)を見直すことにしています。

(引用終わり)

ということは、総務省の「事業所・企業統計調査」が、どれほどの網羅性があり、特に農林水産業が含まれているかが鍵になります。

総務省HPに行って、調べてみました。

総務省「事業所・企業統計調査」
http://www.stat.go.jp/data/jigyou/gaiyou/1.htm

(以下引用)

 事業所・企業統計調査では、我が国の事業所のうち、農林漁業に属する個人経営の事業所、家事サービス業、外国公務に属する事業所を除く、すべての事業所が調査の対象となります。

(引用終わり)

。。。え? ということは、農林水産業の景気判断を、日銀短観はしていない。。。

日本経済の毛細血管といえる、中小企業・非製造業は青色吐息で、
人間が生きるうえで一番の礎になる農林水産業を、日銀短観は無視してしまっております。
金融当局が、土や水とのつながりを把握できるよう、統計の整備が必要と思います。

いざなぎ景気以来の景気回復、と騒いでいいのでしょうか。
大事なものを、取りこぼしていないでしょうか。

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